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2014年01月21日

虫や雑草とどう向き合うか 防虫の実際

キレイゴトぬきの農業論

農業用ビニールハウス(パイプハウス)の専門店モリシタの森下幸蔵です。

https://www.morishitahouse.jp/contents/company.html

 


 

 

 


第3章  虫や雑草とどう向き合うか

防虫の実際

 


 

 

放っておくと病害虫にやられてしまう野菜を、どうやって育てるのでしょうか。

慣行栽培では農薬を使って防除しますが、有機農業では基本的に農薬を使いませんので、代わりにいろいろな工夫をして野菜を守ってあげる必要があります。


まずは、虫についてです。
野菜を虫から守るてっとり早い手段は、物理的に虫を作物に近づけないことです。


たとえば夏秋のキャベツやブロッコリーは放っておくと、あっという間に蝶や蛾の幼虫に食べ尽くされてしまいます。
そこで、植え付けと同時に作物を網で囲ってしまうのです。
僕は、「防虫ネット」という蚊帳のような網で野菜を覆ってしまいます。

 


 

 

≪中略≫

 


 

 

守ってあげなければいけない度合いは季節にもよります。
虫の活動が弱まる時期ならネットは不要です。関東では冬場がその時期に当たります。
また、冷涼な地域では夏でも虫の発生は少ないので、僕のところのように完全に覆ってしまわずとも栽培はできます。

 


虫のつきにくさは野菜の種類によっても違います。
一般に、キャベツや白菜などアブラナ科の葉野菜は虫に弱いので、春から秋にかけては何らかのケアが必要ですが、セリ科の人参などは虫にはそれほど食べられません。

 


 

 

≪中略≫

 


 

 

家庭菜園のような小面積であれば、害虫を手で取って回ることも可能です。
現実的にどこまで守ってあげられるかは、栽培にどれだけコストをかけられるかによるのです。
防虫ネットの利用は、手で取るよりは簡便ですが、農薬使用に比べれば手間やコストがかかります。

 


つまり野菜の虫害を無農薬で防げるかどうかは物理的な方法の可否よりも、経営的にどこまで許容できるかで決まるのです。
巷では「無農薬で栽培できる」「いや、できない」という議論が繰り返されていますが、僕から見ると、それは具体的な有機栽培の技術を知らない人による不毛な論争です。

 


栽培上の可否だけで議論するのは無意味で、実際にはどこまで手を入れるか、という費用対効果を考えた経営判断なのです。

 


 

 

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出典【キレイゴトぬきの農業論】新潮新書 久松達央著

 

 


 

 

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