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2013年12月31日

【キレイゴトぬきの農業論】から

キレイゴトぬきの農業論

農業用ビニールハウス(パイプハウス)の専門店モリシタの森下幸蔵です。

https://www.morishitahouse.jp/contents/company.html

 


 

 

以下、同書からの抜粋です。


【有機農業三つの神話】

神話1 有機だから安全

これは事実ではありません。
有機農業が危険だと言っている訳ではありません。有機農業はもちろん安全です。
どの程度安全かと言えば、適正に農薬を使った普通の農産物と同程度に安全です。

〈中略〉

社会の関心の高まりの中、残留生の高い農薬や毒性が強い農薬への規制が厳しく改正され、メーカーの農薬開発も毒性の弱い物、残留性の低い物へとシフトしていきました。
こうした流れを経て、現在の農薬の規制は、これ以上は無理なくらいに安全に配慮されています。

〈中略〉

「仮にある農薬が、関連するすべての農産物に基準値上限まで残留していたとする。それを一生涯にわたって毎日、国民平均の100倍食べ続けたとしても、動物実験で健康に影響が出ない範囲に収まる」
現実にそんなことはありえません。もしそんな無茶な食べ方をしたら、他の理由で体がおかしくなってしまいます。

〈中略〉

「????は体に悪い」という表現が日常的に使われていますが、これは実は日本語として成立していません。
「????という食べ物の中の????という物質は、このくらいの量を摂るとこのくらいのリスクがある」という表現が適切です。

安全と安心は違う

「どんなに理屈で説明されても、嫌なものは嫌だ。農薬がかかったものは安心して食べられない」という方もいらっしゃるでしょう。その考えを否定するつもりはありません。
対で語られる事の多い「安心・安全」ですが、意味するところは全く違います。簡単に言えば、「安全」は客観的なもの、「安心」は主観的なもの。どちらが正しいとか上位とかではなく、別な概念です。

〈中略〉

農薬は適正に使用する限り、食べる人に危険を及ぼす事はまずありません。農薬が「安全」なのは動かない科学的事実です。しかし、それで「安心」しない人がたくさんいることも事実です。そこもまた他人には動かしようがないのです。自分の気持ちについて他人にとやかく言われる筋合いはありません。
僕自身も、農薬の安全性に疑いを持っていませんが、自分では使っていません。後述する生き物への影響もありますが、主たる理由は「何となくいやだから」です。それは僕の好みや美学の問題であり、合理性を超えた部分です。なので、僕の有機農業は「食べる人の安全のための無農薬」では全くないのです。意外に分かってもらえない部分なのですが……。説明が面倒なので「消費者の安全のためです!」と言ってしまえばいいのかもしれません(笑)。

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