農業用ビニールハウス(パイプハウス)の専門店モリシタの森下幸蔵です。
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水曜日は午後から、ガラス温室の屋根の上で、天窓の板ガラスの交換をしていました。
ガラスは、園芸施設の被覆材の中では、最適な素材です。
光線透過率、保温性能、流滴性能、耐久性能。どの点においても優れています。
ただし、初期投資額が大きいので、近年では新築物件はほとんどありません。
ガラスは割れやすいので、屋根の上の作業では、特に気を遣います。
入社21年目ですが、今でも苦手な作業のひとつです(笑)
さて、本題です。
園芸施設の被覆材のタイプ その1 【全光線透過タイプ】
光線の質を変える機能を持たせた農業用ハウスの被覆材を、フィルムメーカー各社は上市しています。
基本的に、以下のように集約できます。
1.紫外線~赤外線までの全光線を透過するタイプ
2.一部の紫外線~赤外線までの光線を透過するタイプ
3.紫外線域をカットした光線を透過するタイプ
4.熱線(一部の赤外線)をカットした光線を透過するタイプ
5.直射光を散乱光に変換させるタイプ
1~5を、それぞれを解説してみます。
まず、1.から。
1.紫外線~赤外線までの全光線を透過するタイプ
紫外線が必要な代表的な作物には、「イチゴ」と「ナス」が挙げられます。
直接的にイチゴの質を向上する役割は、紫外線にはないのですが、ハウス栽培の現場では、イチゴの受粉にミツバチの力を借ります。
ミツバチは、紫外線を見て飛翔・活動する昆虫だからです。
「ナス」は、市場に出荷する時の基準に、果実の大きさ・形・傷のあるなし以外に、「色の濃さ」があります。
紫外線が不足した環境下では、ナスの紫色は薄くなってしまいます。
ナスの深い紫色は、「アントシアニン」という色素のせいなのですが、このアントシアニンの形成に紫外線が不可欠なのです。
一方、「全光線透過」とは、野外と同じ光線環境をハウス内に再現することです。
これは、フィルムに対し、たいへんな負担をかけることになります。
紫外線を透過させるフィルムを作ること自体は可能なのですが、フィルムの耐用年数が短くなるのです。
いわゆる「紫外線劣化」の問題です。
フィルムを透過する紫外線の量が多いほど、フィルムは物理的に傷つけられるため、劣化が早まります。
【フッ素フィルム】の代表格「エフクリーン」の商品ラインアップには、全光線透過タイプがあります。
これを技術的に可能にしたのが、品質安定性が高い素材「フッ素」です。
今のところ、「フッ素フィルム」以外には、こういう「アラワザ」はできません。
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