農業用ハウス専門店モリシタの森下幸蔵です。
https://www.morishitahouse.jp/contents/about.html
弊社農場の片隅にあるサクランボの木に花が咲きました。
ソメイヨシノと違って、葉が出ても花が散らないので、白と緑のコントラストが美しいです。
サクランボと言えば、山形県の佐藤錦ですね。http://satonishiki.shop-pro.jp/
実は、わたくし、恥ずかしながら、ずっと「佐藤錦」を「砂糖錦」だと勘違いしていたことに今、気がつきました。
さて、本題です。
園芸施設の被覆材のタイプ その5【直射光を散乱光に変換させるタイプ】 (追記あり)
- 紫外線~赤外線までの全光線を透過するタイプ
- 一部の紫外線~赤外線までの光線を透過するタイプ
- 紫外線域をカットするタイプ
- 熱線(一部の赤外線)をカットした光線を透過するタイプ
- 直射光を散乱光に変換させるタイプ
今回は、5.の説明をします。
5)直射光を散乱光に変換させるタイプ
最近の夏秋の猛暑対策として、太陽光線の直射光を散乱光に変換するフィルムが発売されています。
直射光は、葉や芽に当たると、熱による温度障害の原因になるときがあります。
散乱光は、葉焼けや芽焼けなどの温度障害を起こしにくく、また、高曇りの天気のように、影を作らないので、植物の下部にも光が当たり、果実の色づきが均一になるという利点もあります。
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カゲナシ5 (シーアイ化成株式会社)
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美サンランダイヤスター (三菱樹脂アグリドリーム株式会社)
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花野果ナシジ (積水フィルム株式会社)
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クリンテートSKシルキィ (サンテーラ株式会社)
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調光 (サンテーラ株式会社) ※光制御型フィルム
http://www.nouzai.com/cik/kagenashi5.html
散乱光変換率40%というのはトップクラスの数値です。
シーアイ化成さんによると、5層構造だから成し得るスペックであり、他社さんの3層構造フィルムは30%だそうです。
http://www.mpia.co.jp/product/nopo/bisanran/index.html
メーカーの三菱樹脂アグリドリームの担当者によると、散乱光変換率は30%がちょうど良くて、カゲナシ5のように40%は散乱光の割合が大きすぎるそうです。
試験場さんで両製品を使った場合の光合成量の違いについて対照実験をしていただけないかしら。
http://www.sekisui.co.jp/film/product/list/agh/1230080_2538.html
花野果ナシジも3層構造で、散乱光変換率は30%です。
http://www.santerra.jp/products/sk.html
散乱光変換フィルムは、まだ上市してから、数年しか経過していない新しい商品のため、福井県では、野菜栽培用としての普及は遅れているようです。
夏の猛暑が毎年のようになることと、冬季栽培の生育の遅れが許容範囲であることが確認できれば、今後需要が見込まれるフィルムだと思います。
追記
2016年春にサンテーラ㈱から光制御型農業用POフィルムが発売されました。
「調光」という商品です。
http://www.santerra.jp/products/choco.html
調光の特長は
- 高温時(夏)には梨地のように曇って、散乱光に変換しますので、温度の上がり方が穏やかになります。
- また、低温時(冬)には透明フィルムになり、直射光を透しますので、ハウスはあたたかになります。
透明フィルムと散乱光フィルムに可逆的に変化する優れモノです。
サンテーラ「調光」の詳しい解説は動画をご覧ください。
ただし、発売してから間もないので、経年劣化によって調光の効果がどの程度変化(あるいは低下)するのか分からないので、これから注目していきたいと思います。