農業用ビニールハウス(パイプハウス)の専門店モリシタの森下幸蔵です。
https://www.morishitahouse.jp/contents/company.html
『
第2章 野菜がまずくなっている?
キヌサヤの出荷規格
市場の評価上、やわらかくて甘いことがよしとされ、逆にスジっぽかったり苦味やえぐみが強いと敬遠されやすい傾向にあるからだと思います。
〈中略〉
たとえばキヌサヤえんどう。 キヌサヤはその名の通りさやを食べる豆ですが、やはり美味しのは豆ですので、少しぷっくりした位が甘味もあって美味しいし香りもいいのです。 ところが市場規格は「実ぶくれなし」になっており、僕にとってのベストなキヌサヤは市場には出回りません。
〈中略〉
やわらかくて甘いのがいいとされると、品種の開発も採り時もどんどん若採りへと向かってしまいます。 スイートコーンなどもその傾向にあります。確かに最近の高糖度品種は甘い。 ウルトラスーパースイート種というすごい分類もあります。けれども、トウモロコシの美味しさは甘さだけではありません。 昔の焼きトウモロコシのように、粒がしっかりして味が深いものも美味しいと思うのです。
〈中略〉
しかし、現実には分かりやすい甘さ、やわらかさが一般受けします。 そして、その傾向は年々強まっているように感じます。八百屋の対面販売が少なくなり、売り場では食べ方の提案ができなくなったことも、その一因です。 美味しいけれどクセのある野菜は料理法を選びますので、説明が必要なことも多いのです。 〈中略〉 信州の野沢菜がその例です。 大きくてスジっぽく育てるとアミノ酸をたくさん含んだ野菜に育ちますが、このままでは食べにくいので漬け物にすると、とても美味しく食べられるのです。 』
出典【キレイゴトぬきの農業論】新潮新書 久松達央著
久松農園のオフィシャルサイト http://hisamatsufarm.com/