農業用ビニールハウス(パイプハウス)の専門店モリシタの森下幸蔵です。
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第2章 野菜がまずくなっている?
採り時で味は激変する
鮮度の話に少し絡みますが、採り時の問題もあります。たとえば、きゅうりやナスは1日でびっくりするほど大きくなります。家庭菜園で夏野菜をつくったことがある方はよくご存じでしょう。
きゅうりが旬の時期は毎朝収穫するのですが、採り残しがあると翌朝お化けきゅうりを発見してため息をつくことになります。大きくしすぎてしまったきゅうりは水っぽく、歯切れも悪く美味しくありません。
〈中略〉
きゅうり、ナス、トマトなど実がなる野菜を”生(な)り物”と言います。実を若採りする生り物野菜は毎日どんどん変化します。
〈中略〉
大きさが味や食感にどう影響するのか、中を割ってみるとよく分かります。
〈中略〉
一般に野菜は若採りすると繊維が少なく柔らかい食感です。味は未熟で単調になります。ピーマンなどは若採りすると、かなり苦くなります。子どもの嫌いな野菜で必ず上位上がるピーマンですが、採り時と品種による差は大きいと思います。少なくとも僕がつくるピーマンに嫌なえぐみはありません。
一方で、大きくなった野菜は一般に固く繊維質になることが多い。水分が少なくなることが多いからです。
〈中略〉
完熟トマトという言葉があります。赤く熟してから収穫しているので味が乗っていますよ、という意味で使われています。裏を返せば完熟していないうちに収穫さてている物が多いということです。トマトのように輸送中に傷みやすいデリケートな野菜は、ある程度若採りして、食卓に届く頃に自然に赤くなるようにせざるを得ない面もあります。
〈中略〉
このように同じ野菜でも、どのタイミングで採るかで味は全然違います。もちろん教科書には大きさの目安はあるのですが、「このタイミングが味と固さのバランスがいい!」とい発見をすることが大きな楽しみであります。前述のオクラは、一般に流通しているよりちょっと大きめで採った方が、味が深くておいしいと思います。
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出典【キレイゴトぬきの農業論】新潮新書 久松達央著
久松農園のオフィシャルサイト http://hisamatsufarm.com/